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「ONE PIECE」1巻から56巻が56時間無料で見放題

      2017/01/31


電子漫画アプリ「少年ジャンプ+」がリリースされて1年、これを記念して驚きの無料キャンペーンが実施されます。累計発行部数3億2000万部以上を誇るメガヒット漫画「ONE PIECE」1巻から56巻が56時間無料で見放題というもの。コンテンツプロデューサーの佃(つくだ)です。このキャンペーンを通して見えるものとは?

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「ONE PIECE」1巻から56巻が56時間無料で見放題

紙の雑誌と漫画アプリの現状は?

なんとも気風(きっぷ)が良い無料キャンペーンで、読者にとっては時間制限があるとはいえ無料で読める大変ありがたいキャンペーンでもあります。
9月21日0時~10月1日午後11時59分まで無料期間となり、ユーザーが端末でアクセスした時から1-56巻まで56時間読むことができます。

尾田栄一郎氏原作の大人気漫画『ONE PIECE』の単行本第1巻から第56巻までが、集英社の提供するアプリ「少年ジャンプ+」上で、56時間限定で無料配信されることが20日、わかった
Yahoo!Japan

無料漫画アプリはダウンロードが依然伸びており、後発の「少年ジャンプ+」でも400万ダウンロード突破、先行しているcomicoやマンガボックスは1000万前後というダウンロード数を誇り、今や漫画を読む中心的なツールになりつつあるといってもよく、有料の雑誌と無料の漫画アプリを並行して読む、あるいは漫画アプリだけ読むというスタイルが浸透中です。

翻って紙媒体、雑誌を見ますと2015年集英社の少年ジャンプで240万部、講談社の少年マガジンで110万部、小学館の少年サンデーに至っては38万部と遂に40万部を下回り、大きな販路の一つでもあるコンビニに置かれていないという厳しい状況にさらに拍車がかかっています。

漫画アプリで配信するジレンマ

漫画アプリが400万~1000万単位でダウンロードされていて、雑誌にとって代わって広告収入や有料販売があるのでなんら問題ないのでは?と一見思えますが、実情は全く違います。電子漫画に代表されるデジタルコンテンツには大きく分けて下記の4つの壁があり、既存の紙の雑誌や単行本に代わる収益の代替にはなりにくい特徴があります。

1:電子コンテンツは無料という意識の壁
2:デジタルコンテンツ自体が限りなく無料に近づく
3:有料、無料の概念の多様化
4:容易な海賊版作成、その対応

1については、YouTubeに代表されるように無料で動画試聴や、アプリ利用ができて当たり前、という空気感がインターネット上にはあり同じ電子コンテンツである漫画にも、無料で読める、タダで読めて当然というベースが出来つつあります。皮肉にも急拡大している無料漫画アプリがその一助を担っている側面があり、有料の雑誌を販売している出版社にとっては、悩ましい環境・壁であります。

2については、2009年にベストセラーとなった「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」にあるように、コピーが容易なデジタルコンテンツは無料、もしくは有料であっても限りなく無料に近づく運命にあります。紙の出版とは違い、複製にかかるコストが0円なのである意味当然なのですが、これはコンテンツを生み出す著者や流通を担う取次、出版社にとっては大変辛いことです。しかしこの運命は時間が証明していますので、もはや避けては通れない道としてデジタルコンテンツで「お金を生み出す戦略」を見出すべく、様々にアプローチする一環として今回のような無料キャンペーンを仕掛けています。


3については、紙の出版物は、広告付きの無料配布、有料単体販売(新品・中古)、あとはレンタルなど3つ程度の有料、無料の考え方で対応できました。
しかし、デジタルコンテンツ・電子漫画になりますとこれらに加えて無料でも、今回のキャンペーンのように時間限定で無料(あとは有料)、無料広告付き配信、定額配信で読み放題、既存の本とのセット販売で割引、図書館での電子貸し出し、ポイントを絡めてキャンペーンと様々な切り口で無料・有料配信が開発されています。
さらに紙の本の場合は再販制度で販売価格が維持されていますが、電子漫画のようなデジタルコンテンツは再販制度の適用外で、有料の単体販売ですら随時価格変動が起こります。

4については、デジタルコンテンツの複製のしやすさが招く弊害でもあり、しかも海賊版は正規版の販売に大きく影響しますので、大手企業や業界団体、あるいは国レベルでの対策が喫緊の課題となっています。

これらの複雑な方程式を解いて、デジタルコンテンツで適正な解を見出さなければ生き残れないという理由から、今回のようなキャンペーンは行われていますし、当キャンペーンに限らず、新しい有料・無料配信が今後出てくることが予想されます。

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まとめ

私が以前いた音楽業界はCDという物質に音を乗せて流通させることで収益を上げていましたが、ネット配信やストリーミング配信が拡大するにつれてCDの販売が激減、楽曲の販売単価も小さくなりレコード会社の淘汰、CDショップの倒産はすさまじいスピードで進みました。
音楽と本は楽しみ方が違いますので、音楽業界ほどのドラスティックな展開ではないとはいえ、出版業界、漫画業界もゆっくりと同じ方向に確実に進んでいます。

今回の『ONE PIECE』のキャンペーンは、日本最大の少年漫画である集英社・少年ジャンプが、世界最大の少年漫画『ONE PIECE』により、まだ単行本を読んでいないライトなファン、新規読者を開拓するというデジタルコンテンツで正解を導くために果敢に挑戦している、と見れば、出版や漫画にかかわる人が安穏としている状況ではありません。今までに思いもつかなかった最適解を導き出すよう、既存の常識や発想に囚われない努力・アクションをし続けることが求められています。

 


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