アメリカの漫画チャートやランキングはどうなっているの?コンテンツプロデューサーの佃(つくだ)です。今回はアメリカ、特にアマゾン漫画チャートと日本のチャートとの違いなどをご紹介します。
日本人は世界でもトップクラスのランキング好き
テレビ番組でも、日々ランキングやべストテンのコーナーがあり、一喜一憂しながら楽しんでいますね。音楽や映画など見慣れたものから、~が好きなランキングや、~で困ったランキングなど、なんでもランキングにしてしまうのは、もはや日本の国民性なのでしょう。
今回は、ランキングの中でも一般的なランキング、漫画チャートを日米で比較してみます。
まず作品がどのくらいの期間、チャートの中にいたかどうかを示すデイリー、ウィークリー、マンスリーランキングです。
これは、時間のうち「日」を単位にしているランキングで日本人にはとても親しみやすいですし、世界でも普通に使われている形式です。 「1日だけはTOPにいた!」、「強敵がいる週にもかかわらずTOP10に入り続けた!」など、読者はもちろん企業サイドも様々な指針として活用しています。
一方、アマゾンアメリカ漫画チャートはどうかといえば、この便利なデイリー、ウィークリー、マンスリーランキングはなく、「1時間」単位の1時間更新のベストセラーチャートが軸になっています。
1時間でTOP100の作品が目まぐるしく変わり、日本人にとってはいわゆる定点観測が難しいチャートです。
したがってアマゾンアメリカ漫画チャートでずっと1位にいることは不可能に近く、世界的に著名な作品や日本のメガヒット作品でさえ継続して1位に居続けることはめったにありません。 アマゾンキンドル漫画チャート(Amazon Kindle Bestseller in manga U.S.A)
もうひとつ日本では見かけないチャートとして1時間で楽しめる短編チャートがあります。その中の一つとして漫画・ライトノベルカテゴリーもあり、言い換えれば少ないページ数の漫画ランキングです。 アマゾンキンドル1時間で楽しめる漫画・ライトノベルチャート
アメリカのチャートは1時間単位が好きなようですが、理由ははっきりしません。
余談ですが私の推察では歴史的に農耕民族である日本人は日の出日の入りを含めて1日単位で物事を考え動く傾向が多く、狩猟民族の欧米の方は素早く考え動くために、短時間で物事を見極める必要があったのかと。食料である獲物を素早く追って、しかもどこからともなくやってくる敵から瞬時に身を守らなければなりませんし。もちろんこれは勝手な推論にすぎませんので念のため。
1時間更新のランキングは、チャート好きの日本人から見てもなかなか見慣れませんし、1時間単位の更新が早すぎてデータ化・資料化するときに大変困った記憶があります。いつの日か、日本と同じデイリー、ウィークリー、マンスリーランキングが加わってくれれば日本人にも分かりやすいチャートになり、よりアメリカでの動きを知っていただける機会になるとでしょう。
アマゾンアメリカは世界の強敵が乱立状態・・しかし
アメリカはエンターテインメントの本場でもあり、英語化された漫画としてアマゾンアメリカは世界最大の書店となっていますので、漫画も世界中から集まり配信・販売されています。
「進撃の巨人」や「ドラゴンボール」「ワンピース」など日本の大ヒット作品はもとより、アメリカンコミックの「スパイダーマン」や「バットマン」など映画化された巨大な作品群、さらに世界中のメジャー出版社の作品や、セルフパブリッシングでインディ作家の作品など、世界中の強敵がひしめき合っています。
これだけ作品が集まっているとさぞかし、長くランキングに入り続けるのは難しいのだろう、とふつうは思いますが、ここにアメリカチャートの特徴があります。
アメリカの読者の漫画の選び方、そして広がり方は?
日本は漫画大国だけあって、新しい漫画が常に出版されチャートで争い、また新しい作品に入れ変り・・という激しい競争を繰り返しています。そしてメガヒットやロングセラーとなっている作品は、週刊誌や月刊誌で連載された作品がほとんどではないでしょうか。
もちろん、アメリカも競争が起きていることはたしかなのですが、アメリカには漫画の週刊誌、月刊誌はありませんので、どういったものが売れ続けるかといえば、日本でヒットしたかどうかにかかわらず、まず読んで自分で判断する傾向がとても強い。そして一度アメリカの読者の完成に受け入れられた作品は、極めて長く読み続けられている、ということを強く感じております。
ポイント1:漫画週刊誌、月刊誌という指標がない中で、まず自分で選んで読む
アメリカの読者は、自分で読んで面白い、合うと感じたものはレビューで押し、横にどんどん広がり続けるので人口が多い分長く売れ続ける。こうなれば特段、プロモーションを行わなくても自然と読んで頂ける状況となりますので、つまりはそのような作品をリリースすること、出した後にその初動に気づくことが極めて大切です。
ポイント2:英語圏の読者の価値観に合うかどうか。合えば進め方次第でロングセラーになる可能性あり
アメリカ独特の仕組みで、個々人が集まって好きな本を読む“読書サークル-ブッククラブ”があり本を読み、自由に意見を言うコミュニケーションの場になっています。
リアルの場で漫画を読むのは難しいとは思いますが、最近はネット上にもブッククラブもあり、漫画も読書や批評の対象になっています。読まれて批評をいただいて、またそれを知り新しい方が読む、という日本にないフローがありますので、ロングセラーへの次のステップとしてはこのブッククラブに扱われる漫画になれれば望ましいでしょう。
まとめ
アメリカや英語圏の漫画市場は発展途上ですが、アメリカにはハリウッドもありますし、アマゾンアメリカは販売サイトでありながらも、世界からアクセスされる1大メディアでもありますので、そこでランキングに入りつつけることは将来の可能性を大きく膨らませてくれます。
そして強敵が多いとはいえ、日本の素晴らしい作品すべてが英語化されてアメリカでリリースされているわけではありませんので、まだまだ隙間はあります。アメリカチャートの特徴を踏まえ、ポジティブに行動して日本の漫画をさらに盛り上げたいものです。