マンガを読むメディアとしてすっかり定着した感のある漫画アプリ。最近では、子供たちが紙の雑誌でマンガを読めることを知らない、漫画週刊誌を知らない、という驚くべき現象も起こっているとか。こんにちは、コンテンツプロデューサーの佃です。今回は、売り上げ規模やダウンロード数など漫画アプリの最新状況について。
マンガアプリの売上&シェアは?
マンガアプリが登場したときには、提供している各社も収益見込みとしてよりも、まず利用されるか、どういう利用のされ方をするか、定着するか、マネタイズ(収益化)をどうするかなど疑問を持ちながら、まずはリリースしてみるという状況だったと思います。
ところが、2018年のデータを見ますと、漫画アプリは確実に成長を続け、ユーザーに定着し、しっかりと売り上げが見込めるメディアに成長したことが確認できます。
2018年度マンガアプリ売上ランキング
Mobile Index調査「2018年マンガアプリ総決算」によると、1位 LINEマンガの218億円、2位 ピッコマの57億円、3位 少年ジャンプ+の24億円と推定し、10位までのアプリを見ても売り上げはある程度確保されています。
出所:Mobile Index
また、会社別の売り上げシェアではIT系企業上位2社 LINEとKAKAO JAPANを合わせると72.1%に達し、LINEに至っては1社で過半数以上のシェアを獲得するほどの成功を収めています。
ココがポイント
LINEマンガは、App StoreとGoogle Playでも順位がアップしており、大人気ゲームアプリに肉薄しているほど成長を続けています。
無料マンガアプリの利用状況は?
次に、一般的によく利用されている無料系マンガアプリの利用状況はどうなっているか見てみましょう。(出所:インプレス調査)
売上上位4社の「LINEマンガ」、「ピッコマ」、「少年ジャンプ+」、「comico」は無料でもよく利用されており、一方で売上ランキングにはない「pixivコミック」、「ニコニコ漫画」がランクインしています。
無料アプリとして利用されていて、売上ランキングに入らないサービスについては、今後のマネタイズ(収益化)の課題が浮き彫りになってます。
LINEマンガをもっと詳しく
有料・無料ともにダントツの強さを発揮している「LINEマンガ」が、プレスリリースを出しています。
国内最多のダウンロード数2,300万で集客し、23時間ごとに1話ずつ読める「無料連載」では累計2,900作品が配信され、全ユーザーのうち89%が「無料連載」を利用しています。
無料連載には、大手出版社の独占・先行配信とオリジナル作品があり、無料連載を利用している読者のうち80%はオリジナル作品を読んでいる、つまりLINEマンガが新しい作品との出会いの場になっています。
comicoが世界でのダウンロード3,000万を突破
一方で世界に目を向けると、国内のダウンロード数は1,700万とLINEマンガには追い付かないものの、世界のダウンロード数が3,000万を超えたcomicoのプレスリリースです。
リリースによると、配信開始から5年7カ月でアプリの世界累計ダウンロード数が3,000万件を突破。
ダウンロードの内訳は、日本 1,700万件、台湾 560万件、韓国 360万件、タイ 380万件、スペイン語圏 7万件、インドネシア 90万件と、特にアジアでのダウンロード数が1,390万件と目立っています。
comicoは、縦スクロ-ル・フルカラー形式の漫画配信を先駆けて行い、現在世界で注目を浴びているウェブトゥーンの隆盛のきっかけの一つとなったのではと、当サイトでは分析しています。
まとめ
電子コミックは小説などを含めた電子書籍市場全体の80%ほどを占めており、マンガアプリもこれまでの急成長程ではないにしても、国内の緩やかな成長と海外での展開は拡大していくものと考えられます。
スマホで見やすいウェブトゥーンという新形態を産み出し、時間制など様々なビジネスモデルを組み合わせ売り上げを拡大する漫画アプリは、これからの電子書籍ビジネスの中心的役割を果たすことは間違いなく、来年以降の動向にも要注目です。