早くも大ヒットしている『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。10年ぶりの新作ということで時間がかかったにもかかわらず全くブランクも感じず、むしろその渇望感がヒットを促進するというプラスの材料にさえなっています。世界でどのくらいの興行収入をたたき出すか、今から注目が集まる当作品、期待はますます高まるばかりですが日本国内の評価となると賛否両論とも。今回は国内外の評価の違いについて。
渇望感をあおる映像プロモーションが成功
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は、公式サイトによると全く新しい“家族の愛と喪失の物語”がメインテーマ。
プロモーションとして予告編映像をタイミングをずらして3パターン公開し、スター・ウォーズファンや映画ファンの興味や好奇心をあおっていました。確かにバージョン違いを複数視聴することで、各予告編の微妙な違いから新情報を得ると、もっと早く情報を知りたくなる、本編を見たくなる気持ちになる心理的要素をくすぐっています。
『スター・ウォーズ』その新たなる3部作の第一弾は、家族を待ち続けている美しく孤独なヒロイン、レイを中心とした、フォースを巡る全く新しい“家族の愛と喪失の物語”。世界中が注目する悪役は十字型のライトセーバーを操るカイロ・レン。 いま、新たな伝説が誕生する。
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』12月18日(金)18:30全国一斉公開
YouTubeディズニー・スタジオ公式チャンネルより
ハリウッドで称賛の声が相次いだワールドプレミア
国内外の評価の差と将来の課題は?
ワールド・プレミアで絶賛、公開直後の海外での一般視聴者の評価もおおむね高く、海外においては内容面での不安は払しょくされたと言ってもよく、あとは追加のプロモーションや話題性でどこまで興行収入が伸びるか、究極的には世界歴代興収1位の『アバター』(監督 ジェームズ・キャメロン)の28億ドルという記録を越えるかが注目されています。
しかしながら、日本国内では公開直後から賛否両論あり、様々な意見が交わされています。
傑作?駄作?スターウォーズ/フォースの覚醒の感想が賛否真っ二つ!
NEVERまとめ
スター・ウォーズシリーズは世界中に膨大なファンを抱え、新作を作り公開さえすれば容易に興行収入を上げるように見えます。
しかしジョージ・ルーカス監督のたぐいまれなる才能と努力、勇気の結晶として世に出た映画「スター・ウォーズ」のクオリティを下げず、既存のファンの期待を満たしながら新作を制作をすることは極めて困難、当のルーカス監督でさえ作品をつくっても批評ばかりという理由でうんざりしたという話も漏れ聞こえたほどで、誰が作るか?という大きな壁が立ちはだかりました。
しかも時代が代わり、ファンの目も肥え制作費はますます膨大になり、最新作はほぼ絶望という逆境にあったことも事実です。
風向きが変わったのは2012年10月30日、ウォルト・ディズニーが現金と株式40億5000万ドル相当でジョージ・ルーカスが設立した映像製作会社を買収したこと、そして『LOST』、『スター・トレック』、『SUPER8/スーパーエイト』で才能を高く評価されたJ・J・エイブラムスを監督として迎えたことです。
子どものころから熱狂的なスター・ウォーズファンであることを公言しており、しかも過去に制作した映画やドラマから極めて高い制作能力を有することを証明したJ・J・エイブラムス監督。彼が監督した『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のクオリティは、公開から今までのところ評価も高く、既存のファンや新しいファンいずれも満足させる出来だったのでしょう。特に海外では。
しかしながら日本国内においては前出の通り酷評も見られ、改めて全ての国のファンを満足させることの難しさを感じずにはいられません。
特に日本は大量の映画・漫画やアニメが生産・配信されている世界随一のコンテンツ大国であり、日本のファンは目が肥えいるうえに日本独自の嗜好もあることから、極めて意見が厳しくなるのも至極当然。
さらに制作的には「スター・ウォーズ」が巨大かつ偉大であることが逆に、創作的な新しいアプローチを試みることを躊躇させた面もあり、意見の中に「高い予定調和」「悪役の魅力不足」などとあったこともその一面を感じさせます。
しかしながら厳しい意見が出たとしても意見を甘受して次の作品の制作に活かして欲しいものです。
これから新しい『スター・ウォーズ』シリーズを創るためには、日本的に申し上げれば「守破離」のうち、旧『スター・ウォーズ』シリーズから離れることが必要、その時こそ内容の真価を問われるときではと思っています。
とにもかくにも『スター・ウォーズ』の最新作を創ったということ自体の勇気に拍手、別の視点としては『スター・ウォーズ』のような世紀を代表する偉大な作品を引き継ぐという困難極まりない挑戦が、今後に活かせるロールモデルとなるかどうか?これからの『スター・ウォーズ』にはこういう視点からも注目と期待をしています。